古代ローマ風のピザ屋さん

3月に行ったポンペイ展からずっと、古代ローマ熱が続いている。
この絵は4月に入ってから描いたのだが、コミティアを挟んでしばらく放置されていた。そのまま完成しないのが常なのだが、今回は帰ってこれた。熱意が続いたんだなあ。

 

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ポンペイ展は古代ローマのすごいところがその場で目の前にあるところだ。ローマを失い、その後技術的に後退したヨーロッパ文明がローマを再発見したときの驚愕たるやすさまじかったに違いない。

その後のヨーロッパの「進歩」は古代ローマへのコンプレックスを乗り越えるためだったのではないかと言っても過言ではないように思う。

 

遺物は紀元前100~後300年前後までのもので、これはすなわちキリスト教がまだ浸透していないヨーロッパという、私たちが普段目にすることのない世界なのだ。キリストのいない世界。一つ例をあげるとすると、「クピド(キューピッド)」だ。キューピッドは私たちが現在目にするものは、どうしても天使のイメージの洗礼を受けているのだが、この時代のクピドは純粋にアムールというギリシア神アフロディーテの部下でしかない。天使という概念のない人間によって作られたクピド像を目の前にして、私はひどく感動した。

多神教をあがめ、人間性と道徳を叡智で解決しようとした哲人たちの国。それは現代よりも現代的で卓越した合理性を持った社会であり、学ぶべき可能性を秘めている。もちろん差別などは今より強いのだが、宗教のくびきが緩い分、運命論などで身分が固定されないあたり、柔軟性を感じる。

 

そんな生活文化の豊かさを見ているうちに、「こういう世界行ってみてえ…」となり、「でもパンまずいんだよね、ピザ作れないのかな、作ってほしいなあ」などと考えるうちに「俺の考える理想の古代ローマ風のピザ屋」が爆誕したのである。

 

ローマの賢人に今の社会について色々尋ねてみたいものである。

 

 

※当時は遠近法がないから、背景がクソザコパースなのは大目に見てくれたまい←